ペットの癒し効果~犬は神様からの贈り物【エピソード・コラム】


今の世の中、犬や猫と始め、あらゆる動物と共に生活する人が増えてきました。
その生活を始める動機は様々ではありますが、多くの人が、この言葉を口にするのではないでしょうか。
「ペットがいることで、癒される」と。
それは一緒に汗を流して散歩をする事だったり、縁側で膝の上に乗ったペットの頭をなでる事だったり、美しい姿に見とれる事だったり……。

そもそも、どうしてペットに「癒し」の力があるのでしょうか?それは、私たち人間の心理が深~く関係しています。
そもそも他種の動物に愛情を注ぎながら長く共存するという事を行うのは、人間だけなのですから。動物はあくまでもそれに「付き合ってくれているだけ」です。
付き合ってくれているだけで、なぜ、癒しが?と思われるかもしれません。皆さん思い当たる節があるのではないでしょうか。
そう「擬人化」つまり、動物に、人間の気持ちを当てはめて考える事です。
それは人間が都合よく勝手にそうしているだけなのではあります、が。それをペットは受け入れてくれます。

時に飼い主の友達、時に恋人、時に親、時に子供……色々な役割を、その小さな体で全てやってくれるのです。
誰にも話したくないヒミツだって、絶対に言いふらしません。なので、口の堅いカウンセラーにもなり得るでしょう。
これを、心理学では「投影」と言います。自分の心を誰かに写し、客観的に見る事で、心をを整頓する働きです。
そんな投影を心置きなくさせてくれる存在だからからこそ、人は、ペットに癒されるのです。

「犬は英語でDog。その文字を並び替えるとGodで神となる。犬は神様からの特別な贈り物で、神の名を隠し持って人の友達に選ばれた」なんていう言葉遊びがあります。
それは、犬だけに与えられた逸話です。犬と並ぶペットとしては猫がありますが、猫科の動物はライオン以外は群れをつくらない性質です。
故にやはり犬よりはどこか気まぐれで、飼い主の意向に沿わない事もあるのです(それが猫の最大の魅力ですが) その証拠に、呼んだら駆け寄る、何か芸をすると「まるで犬のような猫」と形容されることすらありますね。猫に限らずどんな動物でも「犬のような」と形容されるのです。

これってとっても、すごい事だと思いませんか?それだけ、人にとって犬って特別な存在なんですよ。

あるペットショップでのエピソードをご紹介します

ペットショップでのお話です。初老の夫婦が犬を見に来ました。
話を聞くと、犬を飼うのは初めてという事で、右も左も分からないとのことで、飼うかどうかすら迷っていました。

「お客様、失礼ですがお子様は育てた経験はおありでしょうか?」

質問にびっくりしたように、お子さんとお孫ちゃんのお話をして下さるご夫婦でした。
そのお話を聞いて「大丈夫ですよ、子育ても犬育ても、似ていますから」と答えると、どこか安心したように、それじゃあ、と犬を選び始めます。
何もかもが新鮮そうで、楽しんでいる様子です。

暫くしてから再び声をかけられて、ちょっと抱っこしてみたいの、と奥様。指さしたのは、コロッとした黒のラブラドールレトリーバーの仔犬。
大型犬かぁ、なんて思いながらも仔犬を出して、ソファに座る奥様の膝の上へと下ろします。
太い尻尾をフリフリ、膝の上でクネクネと動く黒いの塊……可愛くないはずがありませんね。お客様、メロメロです。
正直、持て余してしまうのではないかな?と心配しました。しかし、ご夫婦の決心は固く、その仔犬をお迎えして頂くことになりました。
契約や支払いを済ませる合間に、首に赤いリボンのチョーカーを巻いて白い箱に入ってスタンバイ。
再びソファで、改めて「家族の一員」となった仔犬を、今度はしっかり、ぎゅっと抱きしめたご夫婦。それまでで一番の笑顔を見せてくれました。

そして、その仔犬はどうなったかと言うと……。「サクラ」と名付けられ、ご夫婦の手を煩わす事もなく、お利口さんに成長してくれました。
時折散歩でお店の前を通るときの、飼い主さんに合わせた歩調と言ったら。やはり、犬の中には神様が宿っていて、ちゃーんと物事を分かっているかのようでした。

そんな神様からの贈り物の犬ですが、どの犬も最初から幸せとは残念ながらいきません。ペットショップ店員だった私が大事にしていた二匹のチワワは、ペットショップの繁殖用の犬でした。
ペットとして家庭での生活を知らない犬を、これ以上たらい回しにはできまいと勢いで引き取って来たものです。
推定五歳。引きつった顔で吠える二匹は、一緒に暮らすうちに表情が穏やかになり、スワレやマテもしっかりと覚える事が出来ました。
「仔犬からじゃないと躾は出来ません」なんて、嘘っぱちです!なぜなら、これを読んでいるあなたは、大人になってからは何一つモノを覚える事が出来ないのですか?違いますよね。
ちょっと考えてみれば、当たり前のお話なんですよ。

犬は人の鏡。自分の状態を反映して、その表情やしぐさで表してくれる、とても大切な存在です。
人は犬を通して、自分の心を見る事が出来ます。しかし、人間が頼りっきりでは、犬は疲弊してしまいます。
飼い主は「自分が最大限癒される」為にも、犬の正しい飼養管理を行い、癒してもらった分、犬を癒してあげないといけない義務があるのです。
そう。持ちつ持たれつ、癒し合い。その心構えがあるだけで、あなたのドッグライフはとても素敵なものになるはずなのです。

ヒトと愛犬の生活情報誌「いぬのきもち」

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